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(こんなとこ近くにあったんだ!)
レストラン ヒロと書いてある看板。昔ながらの懐かしさのある小さなお店に入る。
老夫婦が経営してるお店のようだったが、店内は小綺麗で意外とおしゃれな感じだ。
「ハンバーグで!」
「えーっと私はトマトパスタで。」
ハンバーグ!と元気に頼む男が子供っぽく思え、可愛いところもあるんだと笑いそうになった。
「で?何があったんですか?」
「まあそう焦らず。んで、あんた名前は?」
(質問に質問で返す人、苦手だ。
ペースを乱されるようで。)
「木原です。」
「下は?」
下の名前を聞いてくる男に、不快感を覚える悠里。
「別にいいでしょ。そこは。」
「知りたいって言ってんだから言えよ。」
男に真っ直ぐ見つめられる。怒っているともとれるような鋭い目つき。
ドクン。
恐怖からか悠理の心臓が跳ねた。
「…悠里!」
ムッとしながら自分の名前を口に出すと、男の切れ長の目がにっこりと笑った。
「悠里ちゃんね。」
満足そうに私の名前を発する。
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