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案の定小泉は来ず、悠里は岩田と2人きりになってしまった。
岩田は悪い人じゃないし、モテそうなタイプだと思う。
しかし、カッコつける仕草も服も計算高い感じも、悠里のタイプではなかった。
(こういうことする人って嫌だ。)
まんまと騙された自分にもイラついていた悠里。
「私ちょっと予定あるんでもう帰りますね。」
そう切り出すと、
「ええ!もう?歓迎会の時みたいにもっと飲もうよ~!」
(…歓迎会の日、私は大失敗したんだよ!)
「すみません、今日はちょっと…」
「…あれ?悠里。」
そう呼び掛ける声に振り返ると、同じマンションのあの男がいた。
「あ。澤聡一郎!」
悠里は思わず街で芸能人を見かけた時みたいに、フルネームで呼んでしまった。
仕事帰りなのかスーツ姿の澤は、印象が違っていて一瞬わからなかった。
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