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どうしよう
どうしよう
どうしよう。
考えてみたものの、新人の私は上司の指示を聞いて行動するしかなかった。
築き上げてきた信頼がガラガラと音を立てて崩れていく。
「困るんだよね。」
「すみません!」
「ひとまず木原さんはこの資料を作って下さい。私が先方に謝りに行ってきます。」
「はい!」
資料作りは難しく、深夜までかかってしまった。
色んな人に迷惑かけた。
はあ。もうやだ。
外へ出ると、私の心を表したようなどしゃぶりの雨が降っていた。
傘、持っていないやあ。
タクシーを待って家まで帰った。
タクシーを出てからマンションのエントランスまでのわずかな距離でびしょ濡れになる。
冷たい。
疲れたよ…
もう自分が嫌だ。
エレベーターは10階に停まっている。
エレベーターのドアの脇に寄りかかって到着を待つ。
ずるずると体が滑り落ちる。
そこは暗い闇の底かのようだった。
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