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「・・ごめんね。」
小泉さんが謝った。
「私こそ、ごめんなさ・・・」
思わず涙腺が緩んでしまった。
「やだ、泣かないでよ。私までやばい。」
小泉さんが私の腕を掴んで言った。
二人で笑いながら泣いた。
トントン・・。
休憩室の扉を叩く音。
二人で焦って涙を拭う。
「いた。」
扉を開けたのはそうだった。
「そう!何で?!」
びっくりして声をあげる。
「心配だったから。」
「すいません、こいつが迷惑掛けました。」
そうはぺこりと小泉さんに頭を下げた。
「ふふっ。木原さんうらやましいな!こんな優しい彼がいて。」
「え?!あ。・・・。」
何て言ったらいいかわからなくて、そうを見上げた。
「お前肯定しろよ。」
軽くど突かれるも、背中をおされて部屋を出る。
私は振り向いて小泉さんを見る。
「すみません。お疲れ様です~!」
「ふふっ。うん!お疲れ様!」
小泉さんは笑顔で手を降っていた。
エレベーターに向かう途中、岩田さんに会った。
「あ、岩田さん!」
「木原ちゃん!」
「小泉さんなら休憩室にいますよ。」
「お、おう!お疲れ!」
少し照れたように言う岩田さん。
「お疲れ様です。さっきはありがとうございました。」
そうも営業スマイルで対応している。
「?」
さっきって?
私は疑問に思ったけどその場では聞かなかった。
エレベーターの中、そうは冷めた声で
「木原ちゃんて。」
と言った。
「あぁ~!焼いてるでしょ?」
ニヤニヤして見上げると、
「うるせ。」
頭に温かくて大きな手が乗る。
心までじんわりと温かい。
私はほっとして気が抜けてしまっていた。
「その顔やめて。」
そうが頬を引っ張る。
「いひゃい。」
「どんな顔?」
「隙だらけだから俺意外に見せんな。」
「えっ。」
どういう・・
一瞬にして顔が熱くなる。
恥ずかしい。
私はそうに安心しきって隙だらけの顔をしているのか・・・。
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