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色んな人を紹介されたが、岩田と小泉がどんな人かを考えること夢中になって聞いていなかったため、結局岩田と小泉しか自信を持って呼べる人がいない悠里だった。
何とか1日目を無事終えることが出来たと思ったら、次の瞬間悠里は耳を疑った。
「みなさん、定時です!木原さんの歓迎会ですよー準備できた人からお店に移動しちゃってください。」
岩田が社内の人達に呼びかけている。
まさかの勤務初日に歓迎会。
あんまりなスケジューリングにがっくりと肩を落とす悠里。
(今日は疲れたからもう帰りたいな…。)
そう思ってみたものの、主役が欠席なんてありえないこと。
(まいっかあ~お酒飲めるし。)
「木原さん、月曜日になっちゃってごめんね。部長が今日しかスケジュール合わないって言うからさ。」
岩田はさほど悪びれた様子もなく悠里に謝る。
「いえいえ、とんでもない!ありがとうございます。」
首を横に振りお礼を言う悠里が、本当は行きたくないと思っていることを岩田は見抜いていた。
「ま、早めにお開きにするからさ!」
岩田が内緒話しをするように、手を悠里の耳元に添えて囁く。
空気を多く含んだその声が、悠里をぞくっとさせた。
(ち、近い…)
歓迎会には、ぞろぞろと30人くらいの人が来てくれた。
話はかなり盛り上がり、悠里は部長とも打ち解けたような気になっていた。
何より悠里が嬉しかったのは、小泉と話ができたことだった。
思った通り小泉とは波長が合いそうだった。
気分が良く、大好きなお酒も進んだ。
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