8658人が本棚に入れています
本棚に追加
/501ページ
なんとか部屋までつれて帰り、抱きかかえてベッドへ寝かせようとすると、女が首に抱きついてきた。
ビクッ!
び、びっくりした!
心臓が高鳴る。
ただ寝ぼけているだけみたいだけど・・。
この女相当だらしないな。
見下していたが、ふとみた女の寝顔がとても綺麗で思わず見とれてしまった。
聡一郎の家は呉服屋だった。
それ故に聡一郎は女に囲まれて育った。
そこで女性の扱いには慣れたし、年上の女性と一緒にいて楽なことも覚えた。
年上の女は経験豊富だし自分が何も言わなくても何でも察してくれた。
ただ、年頃になった聡一郎を弄ぶ女もいた。
夫がいるのに関わらず体の関係を迫られたりもした。
嫌悪感でしかなかった。
それから年上の女は特に信用しないようになった。
もっと強くならないと。
そう思ってずっと生きてきた。
女に負けるのは、嫌だ。
でも、目の前の女の安らかで呑気な顔は、さも何も考えてなさそうで聡一郎を安心させた。
最初のコメントを投稿しよう!