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外が明るい。今夜は満月か。僕は満月を見ながら、大切なあの人を想う。
「蒼兄さん…」
そう口にするだけで、嬉しくなる名前を呟いた。
蒼兄さんはまるであの満月みたいだと僕は思ってる。闇を照らす強い優しい存在が兄さんを思わせるから。
「…ねぇ、兄さん。いつか僕をさらってよ…。」きっと兄さんは困った顔をするから、今誰も居ないこの場所で言ってみた。この場所から離れ、いつでも、兄さんの傍らに居たい。いつかその日が来る事を願い。
「お休みなさい。蒼兄さん…。」
満月にそっと囁いた。
そして、眠っている父さんを起さない様に布団に潜り込みながら。
『今夜、僕の夢に兄さんが出て来たら、嬉しいのに。』
なんて…。自分に苦笑しながら眠りに着いた。
あの後、どんな夢を見たかって?…それは秘密。
(end)
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