ブレイクタイム

13/13
前へ
/39ページ
次へ
 私は新しいグラスにワインを注いだ。  明日の昼ごろ、ここを離れようと思う。  懐の札束は妙に重く、宝石のこすれる音も耳障りだった。  私は今一度、現実逃避を謀る。  グラスを頭上に掲げ、先ほどちらりと分かりかけたワインの魅力を分析する。  光に透かされた濃い紅色はやはり美しい。  それは血の色に似ているのだと気づいた。  これからの自分の人生を暗示しているようで、私は笑うしかなかった。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加