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父さんは構えようともしない。
ただ、立っている。
なのに隙はまったくない。ように見える。
つーか俺には父さんに隙なんてあってもよくわからん。
俺は足の指先に力を籠めると、出来るだけ素早く父さんの間合いに踏み込み、竹刀を振るった。
しかし、父さんはそれを紙一重でかわし、俺の腹に拳を叩き込む。
「ぐぁっ!」
いってぇ!マジ泣きそう!
俺は袖口から人形に切られた紙を取り出す。
「我に使役されし式神よ。彼の者を引き裂け!さすれば我が血を与えん。」
紙を投げると、それは【狛犬】の形となり、父さんを襲う。
俺が唯一使役できる式神。
狛犬は神社の入口を守る。一番下等な式神だ。
狛犬の攻撃にあわせて、俺も竹刀を振るう。
しかし、父さんにはまったく当たらない。
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