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さて、この辺で時間は少し遡り、その日の早朝。
「おはよ~」
少年はまだ覚めきらない眼を擦りながら、茶の間の引き戸を開いた。
「あぁ、おはよう。今日はやけに早いな。
まだ6時半だぞ。」
白い着物に身を包んだ大柄の男が、新聞に視線を置いたまま少年に話しかける。
髪は短髪で、顎には綺麗に整えられた髭がある。
「なんか知らないけど、眼が覚めちゃって。
昨日、寝る前に【本当にあった怖い話】のDVDを見たからかな?」
「また龍樹はそんなDVDばかり見てたの?
まったく、そのうち憑かれるわよ。」
美味しそうなサンマの塩焼きと、湯気が立ち上る味噌汁をトレイにのせて運びながら話すその女性は、とても美人で、『大和撫子』という言葉がよく似合っていた。
しかし、発している言葉は、【憑かれるわよ】といういささか物騒な言葉である。
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