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「まさか彼方がオッケイするとは思わなかったよ」
そう言ったのは沙羅。
いまはもう家に着いて、私達は私の部屋でのんびりとしながら話していた。
「そうだよねぇ!」
そう言う私はニコニコと笑ってるんだけど。
私もまさか良いって言ってくれるとは思わなかったけど、沙羅に感謝だぁ!
「なに幸せオーラ放ってんのよ。」
「だって…彼方と付き合えるんだよ…?」
私がもじもじとしながら言うと沙羅はニコリと笑って口を開いた。
「でも、絶対乃愛が起きれないって思ってるから承諾したんだとしたら?」
それだったら、ショックなんですけど…。
…でも!でもでもでも!そうだとしても彼方は承諾してくれたんだから私が頑張れば付き合っても良いってコトだよね?
「もし、そうだとしても付き合ってくれるよね…?」
「んー…。多分ね。彼方って約束守る方だしね。」
「…なんか、それもイヤ…」
彼方と付き合いたいと思ってる私が言うのは少し可笑しいんだけど、もし私が頑張って早起きして彼方と付き合えたとしても彼方は私を好きでも何でもないのにただ約束したって言うだけで付き合えても…私は嬉しくない…。
彼方は私をどう思ってる?
私と付き合ったら彼方は幼馴染みとしてじゃなくて“彼女”として私を見てくれる?
彼方は…
彼方は私のコトが好き?
「だって、それじゃあ彼方の気持ちを無視してるでしょ…?
私、彼方の気持ち無視してまで…付き合えないよ」
「まぁね。
でも、あたし的にはあんた達好き合ってる気がするけどね。」
沙羅はそう言って最後に「乃愛はイイコだね~」と言って笑いながら私の頭をポンポンと撫でてくれた。
「彼方は私のコト妹として見てるんだよ。」
私は微笑みながら「なんか飲み物持ってくる」と沙羅に伝えて私の部屋を出た。
私は部屋を出てドアを閉めるとドアに寄り掛かりながらズルズルと力が抜けたように座る。
[彼方は私のコト妹として見てるんだよ。]
自分で言ったのに切なくなった。
辛くなった。
涙が出そうになった。
わかってる。
わかってるよ。
彼方は私を恋愛対象としては見てくれていない。
ただ“妹”として見てるだけ。
そんなコトくらいバカな私でもわかるんだ。
彼方のコトを考えると嬉しくて楽しくて…でも辛くなったり苦しくなったりもする…。
ねぇ彼方。
貴方は私のコトを好きになれますか?
貴方は…私のコトを好きになってくれますか?
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