思い描く数年後の僕

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久し振りに目覚まし時計が鳴る丁度一分前に目が覚めた。 窓を見ると外は昨日の予報通りに雨だった。 この町で生活するようになって早一年半。 恐らく今の予定通りに事が進めば、ここにお世話になるにはもう少しで折り返しといった時期だ。 後数ヶ月で冬が終わる。 住み慣れた町での二度目の、一番好きではない季節はとても退屈に思えた。 こんな日は決まって特にやることは無いが、買い溜めたゲームも明日返さなきゃいけない映画のDVDも観る気にならず、 ここ一ヶ月CDが擦り切れるほど聴いたアルバムを流した。 暫くはベッドの上でもう一度横になることにした。 以前までは演奏が複雑そうなバンドの曲や、芸術性が高いとされる音楽をよく聴いていたのだが、 最近は聴くのに疲れないような単調なポップスの方が自分に向いているなと思い、また同じものを特に何も考えずに聴いた。 右目には薄暗い部屋、左目には窓と外の曇空、時折大きな雨粒が見えたり見えなかったりした。 この町の天気はよく変わるが、雨の日が多かった。 大きな海と反対側の高い山に挟まれているせいかもしれない。 海からの風はよく雨雲を集め、冬は遠くの町で降っている雪をこちらまで飛ばし、また積もろうとしている雪を散らしていった。 …そんなことを考えていたら、僕がこの町で積み重ねた日々も、 そのような強い風で飛ばされて無いものにされるのかな、と思う。
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