姥捨て山

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昔々、誰かが決めた。 歳を取って働け無くなった老人を山に捨てる仕来たり。 それによって家の負担は減った。 今よりちょっと昔、 増えすぎた後期高齢者と食糧危機。 その時 『姥捨て制度』 が採用された。 若者の負担はグッと減り、国と自治体は幾らか軽くなった。 しかし今度は働く若者が減った。 労働意欲の欠落、 フリーターやニートの増加。 理由は分からなかったが彼らはあまりにも働か無かった。 老人を減らす時は薬を使った。 毎回それをしては費用がかかる。 そこで数年がかりでほぼ永久に稼働する装置を作った。 地面は機械。 ビルはロボット。 それは四六時中街を見ていた。 贈賄、収賄、殺人… あらゆる犯罪者を現行犯逮捕した。 壁から地面から、ロボットアームが出てきて捕まえた。 ロボットは犯罪抑止に成果を上げ、どんどん取り付けられて機械の町は拡大された。 次第に環境破壊をする人、働かない人、 社会秩序に悪影響を出すと判断された者はみな捕まった。 街に食われて バラバラにされ埋められた。 彼らは肥料となり星の緑の糧となった。 システム考案者、開発関係者や建設に携わった者、プログラムをした人間も遠い昔に居なくなってしまった。 それでもこの星は廻り続けている。 地球上に誰も居なくなった今も…。
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