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「先日、体調を崩して寝込んだばかりだろう身体に触る
そろそろ家に戻った方が良い」
「風邪でもひいたら大変だよ
いやはや・・・そんなに何時間も
後ろの道ばかり 振り返っていては
ロトの妻のように塩の固まりになってしまうよ」
「・・はいブラザー」
娘は微笑んで答える
名残惜しげに彼女は樹を振り返りながら
街はずれの自分自身の家に戻る
修道士はため息一つ
可哀想な娘だ
十字軍に参加した幼なじみの黒髪の若者を待って
もう何年もああして待っている
一体 どうすれば良いものか・・
しかも 低い身分の貴族で身体が弱いとはいえ
あの美貌・・
身分の高い貴族や金持ちの商人が
世話をしたいと何人も声がかかっているという・・
それから
しばらくしての後に
半年も立たぬ間に
家の借財と歳の離れた弟の為に
実家への援助と弟の出世将来への約束の為に
都の高い身分の貴族のものとなり
そして
・・・
一年後に
ある夜、娘は血を吐いた・・
彼女は家に返され
静かに日々を送っている
身体は弱り この街で誰より医術の心得を持つ
神父は毎週 調合した薬を持ち
彼女の家に通う
「具合はどうかね麗しきレディ・エリシアナ」
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