美しき神官の苦悩

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「貴方達は……何故こんなに協調性が無いんでしょうねぇ……。」 溜め息と共に、ガックリ項垂れて呟いたのは、ブルー・ブラックの長髪を綺麗に編み込んだ、美しい青年だった。 年の頃、25、6と言った処か……。 中肉中背の、バランスの良い身体を旅人の服に包み、インディゴ・ブルーの瞳が、静かで優し気な光を湛えている。 「特に、シヴァラージ・ルクセル。 貴方は、戦闘にさえ参加しませんでしたが……。」 そう言った青年が見詰めた先には、まるで悪びれた様子も無い、22、3歳位の青年が、大木に寄り掛かりながら座って居る。 「あの程度……本来なら、アストライア独りで充分だろうが。 ですよね? 無敵の剣士、アストライア・クレイ様……?」 すると、叢に座って、中剣の手入れをしていた剣士が言い返す。 「あんたが風の一つも起こせば、それこそ一瞬で終わったんじゃないのかい?」 「おい、いい加減鬱陶しいんだよ、お前等。 実際、殆んどは俺が始末したんだから良いじゃねぇか。」 ライフルを背中に担ぎ、二丁のハンドガンに弾を充填し終えた男が、うんざりした様な口調で言う。 その時、メンバーの中では一番小柄な16、7歳位の少年が、無表情のままボソッと呟いた。 「デューイだって何もしてないじゃん……。」 旅立ちから一週間程経ったが、こんな会話が絶えないこの5人……。 纏め役は、ブレイン的存在である、神官のデューイ・グランチェスター。 先程の美しい青年である。 大木に寄り掛かって居たのは、魔導師のシヴァラージ・ルクセル。 ブロンドの短髪を洗い晒しにし、風と炎の属性を示すピアスが、形の良い耳で鈍く光っている。 普通、魔導師の瞳の色は、その属性を示すものと同色だ。 勿論彼も例外では無いが、2属性の魔法を使うシヴァラージは、右が炎のワインレッド、左が風のエメラルド・グリーンである。
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