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第1話 女の涙は星の数
耳障りな警報音で目を覚ました。
それは俺に《仕事の時間》だと知らせるかの様にけたたましくなり続ける。
……うるせェな。
小さく舌打ちをして頭の上まで布団を被りそのまま眠りにつこうとすると、部屋の扉が勢いよく開いた。
「レッド、仕事よ!!起きて!!」
布団越しに女の声が聞こえたが無視を決め込む。
「起きてんでしょ!?仕事だってば……起きて!!」
ズカズカと部屋に女が入って来る気配がした後、布団ごと体を揺さ振られた。
「あ~なんか風邪引いたみたいだわ。なんか体ダルイし……今日休むわ」
そう言ってケホケホと小さく咳き込んで見せる。
「あと三秒で起きないと……死ぬわよ」
急に低くなった女の声と共に、カチャリと何かの金属音が聞こえた。
「三、二、一……」
「待て待て待て!起きるから!!」
物凄い速さで刻まれた数よりも先にベッドから飛び出すと、ズガンと大きな銃声音が響く。
「あっぶねェだろ!?当たったらどうすんだよ!?」
額に脂汗を滲ませたまま女に非難の視線を送ると、銃口をベッドに向けたまま女がニッコリと笑った。
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