平凡な日々

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 9月も半ばだというのに、照り付ける太陽の熱は、一向に弱まることを知らず、熱心に授業を受ける学生達を現在進行形で容赦なく苦しめている。  高2の夏が終わり、変わったことは、クラスメートの家族が亡くなったことと、その幼なじみが行方不明になったこと、さらに、転校生が来たこと。  そして、そのクラスメートは、ボクの後ろの席で難しい顔をしながら、熱心に板書をしている先生など眼に入らないようで、まったく違う方向を見つめている。  そんなことを思っているうちに、先生の白いチョークはどんどん進んでいく。早く写さなくては。  まだ蝉の鳴き声が響き渡る中、本来、その広い校庭を駆け巡るはずの体育は、暑さにより倒れる生徒が続出したことにより、保健の授業へと変更された。  体育の先生が、最近の子供は、根性が足らん、と愚痴を言ってたのを覚えている。  その誰もいない校庭を、窓から眺めていると、ふと思う。  どんなに周りが変わろうと、ボク自身は何も変わらないんだ、と。  ボクの世界は、相変わらず平和で、平凡で、――退屈だ。  
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