平凡な日々

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 さて――、  と、ボクが名探偵が関係者を目の前に、今まで懐に温めておいた自信に溢れた名推理をこれから披露するために放つような言葉を使い、考え始めたのは、2人ともお弁当を食べ終え、真夜が先生に呼ばれ教室から出ていき、ボクが自分の机を定位置に戻した後のことだ。  もちろんボクに名推理などできるはずがなく、仮にできたとしてもそれを大勢の人前で、語ることなど到底できないだろう。  なら、今ボクが何を考えているのかというと、ボクの中で最高ランクの難易度を誇るミッションについて――だ。  さて――、ともう一度。  太陽は、既に真上から移動しているが、気温的には最も暑いこの時間帯。  先程と違い、体育すら中止になった校庭でサッカーをしている人達は、当然として、教室にいるボクまで汗をかくような暑さ。  その中で、ただ1人、首に青と白の毛糸を編んで作られた分厚いマフラーを巻き、長袖のワイシャツを丁寧に手の平まで伸ばしたまま、涼しい顔で椅子にちょこんと座る女の子。  ボクの最難関ミッションの目標。  同じ窓際の1番前に座る女の子。  それが、彼女――、  白河 詩乃さん  
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