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少し顔をしかめているゲイルを見て、アトスが不思議そうに問いかける。
「どうしたんじゃ?
うかない顔じゃの」
こちらを見ている碧眼の老人を眺め、小さく苦笑した。
「なぁアトス。
多分俺はこの戦いで死ぬ。
いや、死ななきゃ皆が生き残れねぇ。
そんな気がするんだ」
横目で自軍の大将を見ながら、表情を変えず呟く。
「なんじゃ、お主らしくないの。
古代からの“予言”を、気にしておるのか?」
――予言。
それは古代から授かりし絶望の未来。
光は敗れ、世界は闇に染まる――
微かに目を細め、後ろを眺めた。
視線の先には幾万の仲間達。
今、共に定められし運命に抗わんとする同士達。
ゲイルは強い眼差しでアトスを見る。
「“未来”は俺達の手できり開く……!
“運命”を変える!!
俺はそのきっかけになれればそれでいい。
そのために来たんだ」
アトスに微笑み、本陣に戻ろうとする。
ふと何かを思い出したという様な表情を浮かべ、ゲイルが振り向いた。
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