第一幕:湊の春は今日も空回り

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強い風が吹く。 寄りかかってる木がザワザワと葉を揺らす。 草原には数人の子供達が無邪気にはしゃいでいる。 ……俺はそれをただ、眺めていた。 俺には、こんな幸せな年少時代がなかったから…… ふと、足元付近でガサゴソという音がした。 下を見ると………草を食べている変な子供が居た。 なんだ……この物凄く関わりたくない感じのオーラを放つ子供は…… 子供が俺に気付いたから、一応声を掛けた。 「お前、あの子達と遊ばないのか?」 俺は数人ではしゃいでる子供達を指差して言うが、少年は草を口いっぱいに詰め込み首を横に振った(コイツはホームレス……じゃないよな) 口に入ってた草が首を振った事で周りに撒き散らされて口が空になったからか話しだした。 「俺、知らない奴と遊ばないんだ…ってか腹減った~」 おい、コイツの親は何処だ?一言文句言いたい、マジで言いたい。 そんな感情を知ってか知らずか(知る筈はない)少年は俺の服を引っ張った。 「おい兄ちゃん、暇そうだな…俺が遊んでやろうか?」 なんで命令口調なんだ? それにコイツさっき知らない奴と遊ばないって言ったばかりだろ? ワケ分かんねー…… 「お前、知らない奴と遊ばないんじゃないのか?」 「何言ってんだよ、一言二言話せばもう友達だろ?」 ニコニコしながら少年は上目遣いで俺を見る。 おい、コイツの教育大丈夫か? いつか絶対誘拐とかされんだろ。
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