第一幕:湊の春は今日も空回り

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凪さんの回答に満足したのか加瀬さんが頷いた。 「そう、つまり今の姫鏡には姫と守護者の強大な力が秘められている、敵側からしてはそれはどうしてもほしいモノだろうね」 「敵に姫鏡が渡ったらどうなるんだ?」 「敵に強大な力が移り……もはや俺達に勝ち目はなくなり、世界が崩壊するのを黙って見るしかないね」 それは一大事だ。 敵の正体も分からないのに…… 加瀬さんは本邸が敵の正体を探ってるって言ってたけど… それまで奪われずに守りきれるのか? ……いや、敵の正体が分かっても勝てるのか? そして俺の不安を察した俺の守護者達も複雑な顔をしていた。 この場にいない守護者達には何も告げず、1日が過ぎた。 ……敵が俺達に迫り来るのを感じながら… ―?side― 闇、それは我らにとって心地よい空間… しかし、今日は失態をした奴らに処罰を下さなければな。 「……姫鏡を取ってこいと言ったのに、姫鏡の情報さえ手に入れられなかったのか?」 「……はい」 「だけど、これで姫鏡はガキの方にある事が分かったんだ!」 反省してないキアは俺に向かって大声を出した。 睨んでやるとキアでさえビクッとした。 縮こまるキアの前にジョレスがやってきた。 「今度こそ姫鏡を持って参ります」 「…宛はあるのか?」 「……雪村蒼のガキが今の姫だ、ソイツを締め上げて姫鏡のありかを吐かせれば…」 下を向きながらキアが続けて言う。 「…ふぅん、確かに現姫なら姫鏡を持ってそうだな…」 ジョレスは冷静だが、キアがかなりやる気だ。
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