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俺は俺達と離れた場所で立って聞いていた奴に声を掛けた。
「…ライカ、お前も行け」
「……」
ライカは過去に何度も姫や守護者を倒してきた姫狩りと呼ばれる存在。
戦闘能力は高いから、キアやジョレスみたいに守護者に邪魔される心配はないだろう。
ライカは無言でこの場を立ち去り、キアとジョレスが追いかけてった。
……この世界がほしいワケではない…むしろいらない。
ただ俺は、不思議な力を持つあの女がほしいだけだ……アレが…
普通に手に入るならとっくにやっている。
しかし、あの女の近くに鬼の力が宿る男がいる……
……だから姫鏡のような強大な力がほしい。
その為には、いろいろと準備が必要だな。
俺は脳内に浮かぶピンクの髪の姫を思い浮かべていた。
……あの女なら、必ず役に立ちそうだ…
「……あきら」
俺は誰もいない屋敷でほくそ笑んだ。
―湊side―
翌日、複数で行動すると敵の標的となると加瀬さんが教えてくれたから今朝は祐、秀一、祐介の三人と一緒に登校した。
「…敵って誰なんだよ」
俺は見えない敵が一番嫌いだ(幽霊とか幽霊とか幽霊とか)
イライラする俺に共感して、三人も頷いた。
「まぁ今の流れだと、湊の妹が絡んでそうだな」
「……うーん、あれに懲りてもう攻撃してこないと思ったのになー」
「……祐介、俺達は湊の妹には何もしてない(そして祐介は何もしてない)」
「あー、そっか」
なんか俺を置いて話しが盛り上がってませんか?
膨れっ面で守護者達より少し前を歩いた所で俺は祐の遺伝子の髪を見つけた。
「あ、梓ちゃーん!!」
「……おい湊、さっきの説明はなんだ」
祐の言葉を無視して前を歩く梓ちゃんの所に向かった。
梓ちゃんも気付いたみたいで、俺に笑い掛けた。
「湊先輩、おはようございます」
「梓ちゃん!!おはっ……ごぶっ」
梓ちゃんに抱き付こうとしたら、祐の右手が俺の腹をえぐり、地面にスライディングした。
あれ……変だな、涙と一緒になんか変なのが口から出てきそうだ。
「………………ごほっ」
「フン」
「もうお兄ちゃん、湊先輩に暴力しないでよ!」
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