第一幕:湊の春は今日も空回り

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なんか少年が俺から離れようとしないし、何やらうるさいから仕方なく遊ぶ事にした。 「お前、名前は?」 「…お前から名乗れよ!」 「(怒)……ライカだ」 「外人か?外人なのか!?」 「……ああ、そうかもな」 俺は面倒だから適当に答えると単純だからか少年は納得した。 「俺は湊(ミナト)って言うんだぜ!!凄いだろ!」 「…そうだな」 何処が凄いのか聞いてみたいが、まぁコイツバカそうだし…聞いても無駄か。 実際のところ、小学生のガキと遊ぶ余裕の時間はなかったが…… 行きたくないなら行かなきゃ良いのに、何故かほぼ毎日湊に会いにあの木の下に来る。 湊は俺を友人と言う。 俺も湊を生まれて初めて出来た友人だと思い始めていた。 ……だけど、俺に……友人なんて出来る筈はなかった… 雨が降るある日、湊は来ないだろうと思っていたが、一応湊を待っていた。 そして、俺の目の前には黒い影が現れた。 ……気付いたら、俺の手は赤く染まっていた。 雨に濡れた身体は冷えて、地面に転がる死体を見下ろす。 俺は夢を見ていたのかもしれない… 俺に……人間の友人が出来るワケがない。 散々人間から化け物扱いされて石を投げられて殺されかけて…… そうだ、俺は化け物なんだ……… 俺の目の前には傘を持ちながらボーゼンと立つ湊がいた。 俺に会いに雨の中来てくれたのが純粋に嬉しかったが、すぐに暗い考えになった。 …さすがに心を許しかけた湊にまで化け物扱いされるのは堪える。 俺は湊の近くに行き、目線を合わすように膝を折り曲げた。 湊はビクッとしたが、逃げなかった……いや、動けなかったが正解かな。 俺は湊の瞼に手を添えて離した。 「俺と出会ってからの俺関連の記憶を全て忘れな」 悲しかったが、それが一番……どちらも傷付かずに済むから… 湊はフッと力が抜けたように眠り、俺がそれを抱えた。 俺は湊の着ていたTシャツから覗く首筋を眺めた。 ……汚れを知らない真っ白な肌。 俺は、その綺麗な首筋を舐めた。 そして、ソッと横から露になる鋭い歯で首筋を貫いた。 ………ごめん、湊………でも俺……化け物だから…一緒にいられない
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