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しかし、生徒達は湊の変わりっぷりに驚いていた。
「雪村って…」
「女装すると美少女になるのね…」
「いっそ女になれば…」
「女の子は好きだけど女にはなりたくない!!」
委員長が「これなら勝てる」と何やら燃えている。
秀一に助けを求めようとするが、獣の目になったので距離を取った。
他の守護者達は俺の女装を直視できないと目を逸らしてる(失礼な奴だな)
演劇では木しかやった事のない俺が、ヒロインなんか出来るワケねー!!!!
―☆―
「……湊、もっと口開けて…」
「あー…」
「クスッ、声はいらないよ……そう、そのまま目を閉じて」
「…ん………んぅっ!?」
「……ん」
「んぐっ……んんんんっ!!!!!!……ぷはっ、ぜぇーはぁー」
「湊、途中で唇離しちゃダメだよ」
「…はぁー、はぁー……秀一…この練習は必要ないよな!?」
ヒロイン役が俺で決定してから本格的にクラスで練習が始まった。
俺は王子役の秀一と別室で練習中。
しかし、秀一は何故かキスの練習ばっかりなんだが……
俺は秀一にキスシーンがある台本のページを見せた。
「秀一!!此処には『キスシーン(フリ)』って書いてあるんだから本当にしなくて良いの!」
「いや、そこはリアルにするべき」
「リアリティーなんて誰も求めてねーよ!!全校生徒の前でキスなんてしたら女子が…女子がぁ」
「……湊、何があったの?」
忙しそうに暴れる俺を心配する秀一。
こんなんで上手くいくのか?
「…僕は姫を愛しています、永遠に」
「………秀一、最初っから最後の台詞言ったら後が続かないよぅ」
「……台詞がなくても俺と湊の愛は永遠に続くよ」
「…変なの」
そしてしばらくお互い見つめ合い微笑んでいた。
……何だろう、とても楽しい筈なのに……嫌な予感がする。
……こういう場合よく当たるからなぁー。
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