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まるで本当に大切なモノを失った経験があるかのような演技に観客や共演者達は息を呑んだ。
「俺が、守りたかった……君を一人にしたくなかった」
偽りのない純粋な演技に観客達や共演者までも皆涙した。
最後の最後で棒読みだった俺の本気だとクラス中は言っていた。
俺はまだ湊を抱きしめている。
湊が肩をバシバシ叩くから顔を向けると……
顔が真っ青な湊が窒息寸前だった。
―梓side―
お兄ちゃんの演劇が終わり観客席が騒がしかった。
最後のワンシーンだけヒロインが違う子だった。
誰だろ……可愛い子だったなぁ~(お兄ちゃんにはあんな子を彼女にしてほしいなぁー)
「あ、秀明くん」
千尋の声に私と優ちゃんは千尋が見てる方を見ると、壁に寄りかかりお兄ちゃんのクラスの演劇を見ていた秀明くんが居た。
寄りかかってると思ったらふと秀明くんは何処かに行っちゃった。
千尋も着いて行こうとしたが、まもなく投票が始まるから諦めた。
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