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もし離してしまったら、きっともう元の湊に戻れない気がしたから…
「…それより佐久間、あの女は?」
「………あぁ、湊の妹か?なんかいきなり用事は済んだって言って消えやがった」
「……」
アレがなにか知っているのかもしれない。
湊をこんな風にさせた奴が…
湊、ごめん……でも良いよね…
……俺、犯人を殺さない自信ないや…
暴れ疲れたのか、ぐったりしてピクリともしない湊を抱えてる俺の肩を島田妹が軽く叩いた。
「……ほら湊様を離しなさいよ」
「嫌だ」
「……ハァ、湊様を本邸に連れてくのよ」
「…………俺も行く」
「アンタねぇ、学校あるんでしょ?先生としては見過ごせないわよ」
島田妹が怒ってると島田兄が静めた。
「雪、秀一様は少し学校を休んでも進級出来る単位は心配ないでしょう、それに湊様も誰かに傍に居てもらいたいでしょうし…」
「……陣、そうね…私達は送り迎えは出来るけど湊様に付きっきりで居る事は出来ないワケですし…(しかし陣が秀一様に共感してるのはどうかと思うけど…)」
「…なんで湊を本邸に連れてくんだ?」
そして今までドアに寄りかかり無言だった佐久間が言った。
それを島田妹が話した。
「湊様の心は傷ついてるわ、だから1週間くらい休ませてあげないと……それと清めの儀式は本邸でしか出来ないのよ」
島田妹が湊の足元を辛そうに見ながら言った。
湊の身体は汚されてしまったから清める必要があるらしい。
そして俺と島田兄妹、湊は本邸に向かう為、車に乗り込んだ。
佐久間には他の守護者達や一般生徒達を誤魔化す役目がある。
車の中でも俺は無言で島田妹は呆れていた。
そして本邸に着いた。
「一応後から真矢様に簡単な説明しとくけど、その前に誰でも良いからメイドさんに清めの儀式の手順聞きなさいね……貴方が儀式をするんでしょ?」
「………あぁ」
「一応私達は学校に戻るから!」
そう言って島田妹達は車を走らせた。
清めの儀式は何をするのか分からないが、他人にさせるより俺がした方が良い。
本邸の門を叩くと一人のメイドが顔を出した。
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