第二幕:青山兄弟の正体

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「……そうね、此処は湊様に甘えなさいよ」 「………うっ、分かった」 俺と雪さんに言われて渋々祐は部屋を出た。 そしてやっと雪さんが本題を話した。 「湊様、単刀直入に聞くけど…貴方を襲った男は知り合い?」 「……いや」 あの時の事を思い出し、微かに震えていると…秀一が雪さん達に見えない角度から手を握ってくれた。 その手の温もりに安心して、俺は雪さんに言った。 「……でも、その男…自分で名乗ってました」 「…………なんて?」 「……青山秀明」 微かに秀一の手がビクッとした。 秀一は俺を驚いた感じで見ていた。 雪さん達は勿論、秀一を見ていた。 「…青山って、秀一様の知り合いかしら」 「…………知らない、だってアイツは…」 何やら秀一は俯いて挙動不審だった。 そういえば秀一は……子供の頃の記憶がない。 それを伝えようと言いかけたが、秀一に強く手を握られて言えなかった。 代わりに秀一が言った。 「……俺には兄弟なんかいない…それだけだ」 そして手を繋いだまま俺達は部屋を出てしまった。 残された雪さん達は困った顔をしていた。 ―☆― 俺は秀一に引っ張られて、誰も使われてない部屋に連れてこられた。 部屋に入るなり、ドアに俺を押し付けて秀一が覆い被さるように立った。 「……ッハ……ハァ」 「おい秀一、お前大丈夫か!?」 何やらただ事ではない程の吐息と汗だ。 顔色もかなり悪い。 秀明って奴は秀一に何をしたんだ?
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