813人が本棚に入れています
本棚に追加
「………ふっ、テメーの余裕がムカつくんだよジョレス」
二人の不審者は何やら会話をしている。
それを見て蒼は横に居る既に殺気立ってる二人の守護者に言った。
「伊吹(イブキ)、秋穂(アキホ)…今がチャンスみたいだからやっちゃって♪」
『我が姫の仰せのままに…』
伊吹と秋穂と呼ばれた見目麗しい美青年達が不審者に突撃してきた。
不審者は話を止めて守護者達の武器を止めた。
そしてキアと呼ばれた不審者は蒼に言った。
「おい雪村蒼!アンタ、姫なんだろ?姫鏡(キカガミ)は何処だ!?」
「……此処にはないわ、もしかして貴方達……姫鏡が欲しいのかしら」
「…フン」
キアは鼻で笑い武器である槍を思いっきり振り伊吹の肩に切り傷が出来た。
それを見てキアはジャンプして後ずさった。
キアの横にジョレスがやってきた。
「ハアッ……ッハ」
「キア、血を見て欲情するのは良いけど守護者なんかの血は美味しくないよ?……女の子の方が僕は好きだな」
「…うっせーよ……それより姫鏡がないなら、此処には用はないな」
「そうだな」
キア達は、ベランダに行き手摺に身を乗り出す。
それを見て蒼は余裕の笑みを見せた。
「あら、もう終わり?姫君の本邸で派手な事しといて」
「此処にはもう用はない、他を当たるよ」
ジョレスがうっすらと妖しい笑みを見せるとキアを連れてベランダから飛び降りた。
秋穂が追おうとするが、もう不審者はいなくなっていた。
そして蒼は笑みを消すと伊吹の方に向かった。
「伊吹、大丈夫?もう無理しないでよね」
「…ごめん、逃した」
「ホントにね」
「!?」
「ふふふっ、嘘よ」
悲しい顔をした伊吹に意地悪く蒼は笑った。
肩を手当てしながら蒼は真面目な顔になった。
「でも、彼らは姫鏡を狙ってる……だから姫鏡を持つ湊が狙われる可能性があるわ……湊以外の姫様達も」
「……ああ、そうだな」
「湊って、蒼様と伊吹くんの子だっけ?」
ベランダから戻ってきた秋穂が話に加わる。
蒼と伊吹が頷くと秋穂は何か考えていた。
「秋穂も近いうちに湊に会うわよ、バカで少し苛つくけど☆」
「こらこら蒼、湊だって正式な姫になったんだから少しは変わっただろ?」
そう言いながら二人は深夜には不似合いの高笑いをしていた。
秋穂はそれを見て苦笑いしていた。
蒼の無事に外で戦ってた他の守護者達や兵士はホッとしていたとさ。
最初のコメントを投稿しよう!