第二幕:青山兄弟の正体

29/34
前へ
/319ページ
次へ
そういえば秀明って奴…秀一の事恨んでるみたいだったな。 ……それにアイツ、秀一の両親を… ……ぁ………あれ?確か秀一は自分が殺したとか言って……まさか、あの秀明って奴が秀一の記憶を塗り替えたのか? ……でも、人間にそんな事が… …いや、アイツ自分で人外って言ってたし… ……俺一人で悩んでても解決しねぇよな。 俺は秀一の方に顔を上げると、ふいにキスされた。 「…んっ、んぐっ!!!!??」 「…ん……ッはぁ、湊……俺はどうすれば良いんだ」 秀一がすがるように俺の肩に顔を埋めて助けを求めていた。 俺は秀一の背中をポンポンと叩いた。 「…秀一、無理しなくて良い……まだ、記憶が戻ってないんだろ?」 「………完全に…とは言わないが、その秀明という男に抱いてた感情は何となく…」 「……感情?」 「…尊敬、愛情、悲しみ、怒りがごちゃごちゃになって…」 頭を抱えてよろける秀一を部屋にあった椅子を持ってきて、座らした。 きっと、尊敬や愛情は秀一の両親が死ぬ前… 悲しみや怒りは死ぬ直後なのかもな。 ……だけど、秀一は彼に恨みの感情はない。 ………本当に大好きだったんだな。 「…秀一、和解は出来ないのか?」 「無理だ」 「即答かよっ!」
/319ページ

最初のコメントを投稿しよう!

813人が本棚に入れています
本棚に追加