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「……なにしてんだ?」
「ん?…いや、この本さー、びっしり棚に詰め込まれたせいで取れないんだよ」
「……随分分厚い本だな」
俺は一生懸命取ろうとするが、指が赤くなり痛くて止めた。
他のとは違い、何やらこの一冊だけ歴史を感じたから少し興味があった。
「…神々の祀る祠?」
そう、それがタイトルだった。
俺と秀一で行ったあの場所。
なにか隠されてるんじゃないかと思った。
しかし、取れないから諦めた。
「……湊、もう部屋に戻ろう…此処は埃っぽい」
「あぁ…だな」
少し残念な気がしながら資料庫を出た。
しかし俺が此処に近いうちに別のカタチでもう一度立ち寄る事になろうとは、誰も思わなかった。
―☆―
「湊っ!!」
「うわぉっ!?秀一っ苦しい苦しい!!」
部屋に戻ると秀一から強烈なハグをされた。
苦しいと訴えるが、何故か聞き入れてくれない。
「…湊、心配したよ………………で、なんでお前と一緒なんだよ」
いきなりトーンを低くし、祐を睨み付けた。
祐も負けじと睨み返した。
俺は未だに秀一に抱きしめられてる………いい加減離してくれないと俺死んじゃうからっ!!(窒息で)
そして俺は1週間くらい学校を休んで本邸に居候する事になった(秀一が大袈裟すぎるんだよ、俺…女じゃねーし)
一先ず祐と秀一は帰った。
俺は長時間地下に居たからか、新鮮な空気が吸いたくて外で散歩中。
もう周りは暗くて夜空が綺麗だ。
真矢さんは遠く離れた場所でも助けを呼べるように防犯ベルを渡した(俺は幼稚か!?)
そして修行した思い出の池まで来た。
池の中を覗いてると、ふと背後から誰かが近付く足音がした。
此処はまだ本邸の庭だし、真矢さんか庭師の人かと思い振り返ると……
赤い綺麗な髪をした青年が立っていた。
祐とは違う感じでツンツンしてないストレート。
夜だし、暗くて分からないけど瞳も赤いような…
何故か懐かしい…
「……俺とどっかで会いましたっけ?」
「……」
俺は純粋に思いだそうと言った言葉だったが……彼は何故か悲しそうな顔をした。
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