第三幕:黄泉の箱庭

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その出会いは 偶然であり 必然であり 純粋な 二人の 残酷な運命の 合図だった ―湊side― 「お帰り、湊」 数十分して本邸に帰ると真矢さんがメイドを引き連れてお出迎えしてくれた。 俺は今、かなりゴキゲンだったりする。 だって友達が出来たから… ライカさんという名前の男性(歳は陣さんに近いかな?) ………やっぱり懐かしい感じがするけど、俺の知り合いに似てるという事じゃない。 なんだろう……このモヤモヤ。 「さぁ湊、今日は雪達も来てるから夕飯にしようか」 「わーいご飯ご飯~♪」 俺はさっきのモヤモヤを夕飯という最終兵器(俺の中で)で蹴散らした。 しかし…… 「今日は久々に酒を飲むわよー!!」 「全く雪は…千里様に禁酒されてるからって、酒瓶をらっぱ飲みって……」 「……」 横に居る陣さんは雪さんの弾けっぷりに呆れていた。 俺は無言でモグモグと食べていた。 やっぱりモヤモヤする………………………いや、モヤモヤより気になる。 明日聞いてみれば良いか。 俺が難しい顔をして食べてるから陣さんが心配そうに覗き込んできた。 「……湊様、どうかしたんですか?」 「あ、いや……この煮物美味しいなーって…………………………陣さんのいただきっ!!」 「えっ、あ…はい」 行儀悪いが、陣さんの煮物を箸で刺してモグモグ食った。 陣さんってリアクション薄いよなー…(もし俺が祐に同じこと実行したらボコボコにされんのに…<秀一は喜んで差し出すから意味がない>) よし、陣さんが焦りそうな事してやるっ!! 「これもいただきっ!」 俺は、俺だったらかなり焦るであろうデザートの陣さんのきなこ餅を食べた。
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