第三幕:黄泉の箱庭

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「ライカさーん」 呼びながら歩いてると、足に力が入らず地面に座った。 もうこのまま寝たい気分だけど、さすがに凍死しちまうよな。 フワフワな頭を振って身を乗り出し、池を眺めた。 そして…… ドボンッ 落ちた。 落ちてから気付いた。 (俺泳げないんですけどぉぉぉーーーーーー!!!!!) 記憶の中で思い出せる人物を思い出しながら俺は意識を手放した。 ―☆― 俺は夢を見ていた。 暖かい夢。 俺の横には大好きな彼が居た。 ………彼は、ライカさん? だけど、ライカさんは悲しそうな顔をしている。 それから場面が変わり、ライカさんは赤い地面にしゃがんで泣いていた。 赤い地面には見た事のあるモノが…… あぁ……あれは姫鏡だ。 粉々に砕かれた鏡がいくつも光ってる。 鏡は一つだけではないみたいだ。 ライカさんは呟いていた… 【俺は何をした?】 【こんなものいらない……筈なのに】 【無意識で人を殺す自分が怖い】 【……こんな身体に生まれなければ…人間に生まれてれば…】 そればかりを繰り返すライカさん。 そして手に持ってた細長くてよく見なきゃ分からない程の糸みたいなのを首に巻いていた。 ……自殺する気なんだ。 『ライカさんっ!!やめっ……』 俺の声が聞こえたのか分からないが意識は現実に引き戻された。 「……此処は……」 「気が付いたみたいだね」 俺はキョロキョロ周りを見た。 あぁ…此処はさっきまで居た池の前だ。 俺、落ちたワケじゃないのか? そして俺の横にはずぶ濡れのライカさん。 ついでに俺もずぶ濡れ。 あー…やっぱ落ちたんだ。 そんな事をのんびり考えてるとハッとした。 「ライカさんっ!!助けてくれたんですかっ!?」 「此処をたまたま通り掛かってね、それで湊が溺れてるのを見て…」 「……あ、ありがとうございます」 「酔ってる時に池に近付くのは危ない」 「…………はい」 説教されてしまった。 でも、何となく安心してしまった。
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