813人が本棚に入れています
本棚に追加
「……でも、姫君って女なんじゃ…」
「よく分かんねーが、吐いてもらった方が早いだろ!!」
そう言うのと同時にキアと名乗る青年は俺達目掛けて襲い掛かった。
武器である長ったらしい槍を見えない何かでライカさんが止める。
それを槍の持ち主であるキアは鼻で笑ったような態度をとった。
「…何のつもりだよライカ」
キアのドスの効いた声にもライカさんは動じず冷静に言った。
「……湊、逃げろ…此処は俺が食い止める」
ライカさんの言葉に、俺だけじゃなく他の二人も驚いていた。
「ライカ、あなた裏切るんですか?」
「…チッ、冗談じゃねー……アイツへの恩を忘れたのか!?」
アイツって言うのは分からないが、ライカさんは今…仲間であるだろう二人を裏切ろうとしているんだ。
「ライカさ…」
「早く逃げろっ!!」
さっきと違い、苛立つようにライカさんは俺の背を押した。
ライカさんの優しさは無に出来ない。
俺はそのまま池の横の林の中に入ってった。
……ライカさんは、いったい何者なんだろうか。
林の奥深くに入ってから後悔した。
元来た道から戻れば助けが呼べたのに…
……これじゃあライカさん一人で危険だ。
俺は林の中を歩き続けて、電波の良い場所に向かった。
……雅也さんに知らせるしかない。
そして電話した。
数分したら場違いなテンションが携帯越しに聞こえた。
「はいはーい!!こちら黒電話!ただいま留守にしておりまーす、御用があるなら直接来てね☆」
「……電話の意味をご理解下さい、祐介さん」
「あれあれ?湊ちゃん?どした、大丈夫?」
確か祐は守護者達に、桜祭の主役をやった疲れで本邸で休ませてるって言いワケしてたっけ…
だったら合わせないとな。
最初のコメントを投稿しよう!