第三幕:黄泉の箱庭

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こんな事を知ってるのは一般人ではあり得ない。 次々と疑問が出るが、最初から聞く事にした。 「…俺達………望達が死んだ後なら青山はなにか知ってる筈だ」 「……それでは、彼は君達になにか言ったかい?」 コイツの喋り方がいちいちムカつくな。 …確かに俺はともかく、湊には言う筈だ。 それが、望達が死んだ後の話は話題にすらならなかった(俺達が単に興味なかったからなのかもしれないが…) 俺の反応を面白そうに眺める加瀬。 「……無理はない、彼も知らないのだから…」 「彼って、青山も?……自分の記憶なのにか?」 「……ああ、彼は殺され記憶を消された……秀明という少年により…」 ゾクッとした。 秀明という人物は前世の時代から存在していた? ……じゃあ凪のようなもんなのか? 考えをそのまま加瀬に言うが首を横に振った。 「…違う、前世の彼と今の青山秀明は別人だ……勿論、魂も」 「別人?…でも」 「…別人だが、簡単に言うと…前世の秀明の魂が青山秀明に乗り移ってると言った方が正しいかな?」 じゃあ今も青山秀明の身体に居る。 加瀬の話はこうだ。 前世の秀明は元々神の分身だった。 …地上で晃を見守っていた。 しかし、晃と望は恋に落ち…神に狙われた。 今のままじゃ地上に降りる事が不可能な神は秀明を使い、神の実物を作るのに必要な魂を集めていた(つまり罪のない人を斬りまくってたって事だな) そして、神を実物にして秀明は晃達を探した。 しかし晃達は既に死んでいた。 神に報告しようと戻るが、神は実物を作ったばかりで力が不十分な為に封印された。 血だらけな白髪の男に… 怪我をしているワケではなかった。 全部返り血だろう。 そして秀明はハルを後ろから突き刺した。 ハルは何も抵抗しなかった。 ……まるで生きる事に意味がなくなったかのように… そして力が不十分な分身の秀明は少し時代が経ち、人間のように寿命で死んだらしい。 「…俺が知ってるのはこのくらいかな?」 「……お前がこんなに詳しいのに疑問があるんだけど?」 「それは聞かないでね」 人差し指を口元に持っていきウインクしたから、多少の殺意が芽生えた。 …まぁ、それはさておき…俺は部屋を出ようとドアに向かった。 加瀬も立つ。
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