24人が本棚に入れています
本棚に追加
「………………」
月讀は一人、苦行に耐えていた。
実行に移してから、かれこれ2時間ほど経ったのではないかと思うのだが、月讀のいる所からは外の景色も光も何も見えない為確かな時刻がわからない。
ただただ、砂音と熱に身体を酷使させながら、たった一人のために耐えていた。
そもそもの始まりは、月讀の幼なじみであった女性の最後の頼みだった。
彼女は自分や無月とは違い、親から身の自由なく、年の離れた男の下へと嫁がされた。
それは当時の月讀にとって、毎日後悔と憎悪を産みだすほど辛い現実だった。
……おそらく自分でも気付かぬ内に彼女のことが好きだったのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!