24人が本棚に入れています
本棚に追加
あまりに衝撃的な事実を知り、久遠と玖々廼馳は驚きを通り越して悲鳴を上げかけましたが、そんなことをしている暇はないと賢く瞬時に判断した二人は慌ててお互いに目を見合わせました。
てっきり叔母さんに会いに行くだけだと思って安心していたのに、大事な義姉であり、年頃の女性である※※が、月讀の知り合いである男(おそらく年は月讀の態度からして同じくらいであろう)のところに一人で出掛けてしまったのです。
相手がどんな男かはわかりませんが、もしかしたら大好きな※※を奪われる可能性があるかもしれないことに気付き、二人は見る見るうちに顔色を青ざめさせました。
そんな二人を見て月讀は、一瞬不穏な空気を纏って目を細めましたが、すぐに表情を元にもどし…
「大丈夫ですよ。※※には道中何かあっても対処出来るように、お土産のかごの中に色々と仕込んで渡しておきましたから」
そう言って月讀はニッコリと微笑みを浮かべました。
その月よみの顔を見た二人は、月よみの背後に薄ら寒いものを感じ、我知らず一歩後退ります。
※※は知りませんが、昔※※を目当てに家へ新聞の勧誘にやって来ていた少年が月讀の手によって散々非道い目に合い、二度と家に近寄ろうとさえしなくなるほど叩きのめしていたことがありました。
その時の少年に向けていた月讀の笑みが、今の笑みと大変酷似していたので、その非道を物陰から目撃していた二人はこの月讀の笑みが半ばトラウマになってしまっていました。
“触らぬ月讀に祟りなし”と思い、その場から逃げ出そうとした久遠と玖々廼馳の二人ですが、逃亡を察知した月讀に先に肩を掴まれて敢え無く逃亡に失敗してしまいました。
そして、次に月讀がポツリと零した言葉に久遠と玖々廼馳は背筋を凍らせて、ただただ頷くしかありませんでした。
「手は多く打てるだけ打っておきましょう。万が一…ということもありますし……ね?久遠、玖々廼馳?」
最初のコメントを投稿しよう!