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新曲のプロモーションビデオの撮影現場。
完成間近の作品は、流鬼のコマを撮り終えれば晴れてフィニッシュだった。
撮影現場は古い廃ビル。
退廃的なその雰囲気が、新曲のイメージとマッチして、全員があらゆる場所でソロパートのコマを撮った。
最高にかっこいいPVになる事は確信に近くて、それは流鬼自身も感じていた。
流鬼の背景は、今にも壊れそうなビルのテラスのような場所で、高さにしてマンションの二階くらいだ。
廃ビルの周りには山しかなく、流鬼を捉える背景には山もちゃっかり出演していた。
スタッフの「撮ります」の合図で、流鬼が歌う。
新曲の、退廃的な美しい言葉を奏で、見事に一発で撮影は終了した。
作品の最後のコマが終わり、メンバーやスタッフはもちろん、流鬼さえも、少なからず浮かれていた。
ようやく一つの仕事が終わった。
まだ告知や取材などは残っているけれど、それはこうして体を張ってする仕事に比べれば何ともない、むしろ楽な仕事であった。
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