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「…俺、何か変なこと、」
「や、えぇねん」
俺が言いかけた言葉を遮って、京さんが短く言った。
「…この公園。覚えてて来たんやないん、やな」
ともすればそれは、独り言のように聞こえ、しかし確実に俺にも聞こえるような声だった。
―――公園を、覚えているか?
…分からない。
ただ確かに懐かしく感じている。
「…分から、ない」
不意に口からほろりと言葉を流した矢先、突然頭が痛くなった。
「ア…」
激痛。
視界が回り、さっきまで聞こえていた穏やかな風の音や、鳥の囀りなんかが、急に伸びきった古いカセットテープのような不愉快な音になる。
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