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流鬼、と呼ぶ京さんの声も、今は遠くに聞こえた。
―――。
目を瞑っているはずなのに、脳内で再生される映像。
ジュウジュウと、ワクワクするような音と共に、カランカンと不規則な金属の音。
その映像に神経を研ぎ澄ませると、見えてきたのはフライパンだ。
何の変哲もない黒いフライパンの中に踊るのは、チャーハン。
『――――』
金髪頭が何かを言っているが、これだけチャーハンの炒める音が聞こえるのに、人の声は一切聞こえてこない。
ただ、俺はその金髪頭と親しげに、チャーハンを作っているんだ。
これは、何だ。
俺の、―――記憶?
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