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「どうしてこうなるかなぁ…」
……自転車部のマネージャーと言っても迷子にはなるものだ。いや、そこっ…自転車部関係なくね?
慣れた公園のはずなのに、ちょびっと広いだけで澪は迷子になってしまう。つまりただの方向音痴なだけなのだが…。
「弱ったなぁ…このままじゃ完全に遅刻だ。」
「弱った。完全に見失った。つぅか広すぎじゃねぇ!」
「…!?」
横をジッと3秒ほど見てみる。
普通の人に見える。背丈は173cmくらいといったとこか。
痩せ型?というよりヤセマッチョ?的な体型の青年…まぁ、男性だ。明らかにワタシより年上……。
澪博士の非常に冷静な分析。
だがなぜに人の隣に突如現れ、これまた突如叫び出す?……考えれば、考えるほどに深みにハマっていくもんだから、とっさに澪の脳裏から“防衛反応”というサインが発せられ、それを具体的に…ていうか澪的に言葉に表してみた…。
「ギャァァァッッ!!…変質者ぁぁぁ~!!」
奇声だ。
裏返ったそのロリボイスが広いはずの公園中に響き渡っていたのだから相当の衝撃を受けたか、相当敏感な防衛反応だと思われる。
「なっ!なんだ急に…」
叫び出す澪に気が付いた“変質者”は、とっさに正面に回り込み澪の口を塞ぎ奇声を止めようとする。
「…ちょい待ち!」
が、逆効果だったようだ。
口を塞がれたことで、震え上がるその“防衛反応”がいつしか“防衛本能”へと変わり、行動へと現れたのだ。
力強く自分の口を塞ぐ“変質者”の手をふりほどこうと、“変質者”の腕を掴み抵抗する。
しかし、どうにも離してくれなささそうだったと悟った澪は、思わず自分でもビックリするぐらいの綺麗な背負い投げを決めてみた。
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