ゆうひ

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「仕事や家庭で過ごす毎日が苦痛に感じたりする人は少なくありません。そんな人達を見るうちに私はある治療法を考えつきました」 「その方法は科学的には証明なんてできないでしょう」 俺は黙って聞く。 「不安定な孤独感や寂しさ、絶望感に対してなんらかの強い刺激を与えて、その感情を爆発させる、というものですね」 俺はピンときた。 「その……強い刺激が……」 「そう。あの偏った寿命宣告。」 「窮地に立たされた人間は生きたい、と強く願います。本当に大切なものが見え、大事にしたいと思うんです」 それだけ言い終わると医者は立ち上がった。 「すみません。本当に」 頭を深く下げて謝る。
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