ゆうひ

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病院から外にでる。 診察料はとられなかった。 「はあーー」 立ち止まって思いっきりのびをしながら息を吸い込む。 通行人の何人かがこちらを見ていたが気にしないようにした。 なんだか病院に来てからとても長い時間がたった気がする。 のびをしながら視界の隅に光を感じて顔を向ける。 夕陽だ。 まだ沈んでいなかった。 七階からはビルに沈んだように見えたが、地上に降りてみるとこの時間でもまだ、ビルの根本のあたりに太陽の光が見える。 まぶしい…… 俺は久しぶりに夕陽を見た気がした。 「よしっ!!家帰るかっ!!」 行きよりもはるかに軽い足取りで家に向かう自分に気がつくまで、そんなに時間はかからなかった。
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