第 壱 話

10/30
前へ
/184ページ
次へ
「え・・・?一体何をしたの?」 「ん?行きたい場所があるんだろう?お前の呪縛は俺が断ち切った。だから、好きなところへ行かれるぞ」 タケルは私を抱き上げたまま、ふたたびニカッと笑う。 本当に呪縛が解かれたというなら、家に帰りたい。 3日間求め続けたかつての私の居場所へ。 「家か」 そうつぶやいて、タケルは私を抱き上げたまま、私があの日に歩くはずだった家路へと向かっていた。 まるで魔法をかけられたように、でもすごく自然に、私の体は交差点から離れていく。
/184ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加