第 壱 話

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「願ったから聞こえた。思い描いたから見えた。ただそれだけのことさ」 「心が読めるということ・・・?」 「触れていればね」 つまり、今の私の心は抱きかかえられているから思ったことがタケルに伝わると、そういうことらしい。 「・・・エッチ。降ろして」 私はするりとタケルの腕から降りると、懐かしい家路を自らの足で進む。 タケルは何も言わずに私の後ろをついてきてくれた。
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