第 壱 話

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つい3日前に元気に出かけたいつもの通学路。 あの時はこんなことになるなんて思いもしなかった。 そして、タケルに出会わなかったらまたここを歩くことはなかった。 「・・・ありがとう」 「ん?」 「連れてきてくれてありがとう」 「お前が願ったからな」 私の後ろにいるタケルの顔は見えない。 一体どんな表情をしているのか。 出会った時のように歯を見せてニカッと笑っているのだろうか。 それっきり私もタケルも無言まま、夕飯時の住宅街を奥へと進んでいった。
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