第 零 話

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信号無視のトラックが猛スピードで近づいてくるのに気づいて。 一瞬、目を閉じて。 ものすごい衝撃を全身に感じた。 本当に、ただ、衝撃だけ。 痛みなんてない。 次に両目を開いた時には、交差点の先で血塗れの事故現場を見つめていた。 最初は何が起きたのかわからなかったけれど、事故現場にボロ雑巾のように落ちていた遺体が私の顔をしていた。 飛び交う悲鳴を聞き、あわてて駆け寄る人達を呆然と見やって、「ああ、終わった」と一瞬で悟った。 17年の短い人生よ。 さようなら。
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