第 壱 話

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もう、こうして3日もここから動けずにいる。 家に帰ろうと歩き始めても、気づけばもとの交差点へ戻ってきているのだ。 これが俗に言う、地縛霊ってやつですか。 途方にくれたまま、また1日が過ぎていくんだろうか。 事故に遭った交差点は、まるで何もなかったかのように、いつものざわめきに包まれている。 交差点の片隅の電柱には手向けの花束と飲み物やお菓子が並べられているが、私には手にとることも、口にすることも出来ない。
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