第 壱 話

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ため息が自然と多くなる。 ため息をついたところで何も状況に変化はないのだけれど。 ただ、時間が無駄に過ぎていく。 眠くもならない。お腹もすかない。喉も渇かない。今目の前に広がる人の群れと空の色以外に時を知らせるものはまるでなかった。 「どうしたらいいの・・・誰か教えて・・・」 問うたところで、誰かが答えてくれるわけでもなく、ただ虚しさが増していくだけ。 もう何十回もこうして呼び続けているがすべて見事にからぶっている。
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