第 壱 話

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生きていた時は、ひとりぼっちなんて怖くなかった。 家にはお母さんがいて、お父さんさんがいて。うるさかったけど妹がいて、帰る場所があったから。 今の私には帰る場所もない。あったとしても帰ることすら出来ない。 「だれか・・・」 止まらない涙と嗚咽が次第に大きくなってくる。 呼んだところで誰も答えてくれないのだから、もうやめようと思いながらそれしかできなくて誰かを呼び続ける。 いつかは誰かに届くと信じて、呼び続けるしか出来ないのだ。
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