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大学の推理小説研究会の連中が角島という無人島に行き、その島の中にある“十角館”という変わった建物で一週間滞在するのですが、そこで次々と研究会のメンバーが殺されていくわけです。
そして仲間たちは段々疑心暗鬼に陥り、ぎくしゃくし、お前が犯人だろ! と言い合いになったりして、それは手に汗がべっとりとつくほど読み手に緊張感を与えてくれます。
どんどん仲間が目の前で殺されてしまい、最後はとうとう……げふんげふん。
これは綾辻行人のデビュー作なんですが、当時二十六歳にしてこんな小説を書けるのですから、――凄いの一言です。やはりミステリはこうでないといけません。このやるせない不条理な死、犯人の動機、隔離された仲間たち、どれをとっても申し分ない現ミステリ小説の中で一、二を争うんじゃないですかね。
そして極めつけはたった“一行”で全てが分かってしまう驚きの種明かし。
驚嘆に値します。ドキドキしながらページを捲った方も大勢いらっしゃることでしょう。
この十角館で“館”シリーズが始まり、その都度、島田潔という探偵役が事件を解決に導いてくれるのですが、こと十角館に関しては……おっと来客が。
かれこれ二十年以上も前の作品なのですが、今読んでも全く色褪せない斬新さを保っている小説です。間違いなくミステリの歴史に残る作品です。
何年か前に、新装改訂版が出版されまして、あとがきで作者が当時のことを色々語ってくれてますので、それもまた面白いです。まだ未読の方は是非とも読んでおくべき小説だと思います。
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